遺言

遺言書作成のメリット

1.生前に遺産の分け方を決められる。

遺言がない場合は、法律で定められた割合で遺産相続されます。
遺言があれば、生前のうちに、各相続人が取得すべき遺産を具体的に決めることができます。
誰に、どのような遺産を渡したいか、ご自身の思いを反映させることができます。

2.相続人以外にも財産を渡すことができる。

遺言があれば、相続人以外の者にも財産を渡すことができます。これを「遺贈」といいます。
内縁の妻や、身の回りの世話をしてくれた息子の嫁にも遺産を渡したい場合などによく使われます。
ただし、相続人の遺留分を侵害することはできません。

3.相続人同士の争いを未然に防ぐことができる。

遺言がない場合、相続人の間で財産分けについて争いが発生する可能性があります。
遺産が現金だけであれば、あまり問題にならないかもしれませんが、主な遺産が先祖代々受け継いだ不動産だったり、ご自身が経営する株式会社の株式の場合は、相続人の間でトラブルになる可能性が高いです。
故人の意思が反映されないどころか、相続人の間に争いの火種を作ってしまうことになる恐れがあります。

4.相続人が遺産分割協議せずに相続できる。

遺言がある場合、遺言どおりにスムーズに遺産相続されます。
遺言がなく、相続人同士で遺産分割協議をする場合には、相続人全員の同意が必要なので、時間も手間もかかります。
相続人の1人が重度の認知症だった場合、そもそも遺産分割協議をすることができないので、長期間、遺産が塩漬け状態になることもあります。

遺言書の種類

1.自筆証書遺言書

自筆証書遺言は、全文を自筆で書き上げる必要があり、代筆が認められていないので、自分で文字を書けない場合は利用できません。
複数の不動産を保有している場合は、記載すべきボリュームが多くなり高齢者には負担が大きいですが、2019年の法改正によって、財産目録の部分については自筆以外の方法が認められるようになり、負担が軽減されました。

死後、遺言書が発見されなかったり、家庭裁判所での検認手続きが必要といった欠点がありましたが、自筆証書遺言を法務局に保管することができる制度ができ、これらの欠点を補うことができるようになったので、使い勝手が良くなりました。

費用をかけずに、気軽に作成できるメリットがある反面、厳格な様式が求められ、せっかく作成した遺言書が無効になるリスクがあります。
自筆証書遺言書保管制度を利用する場合であれば、法務局が形式的な不備の有無についてチェックしてくれますが、遺言書の内容が適切かどうかまではチェックしてくれません。

どのような内容で遺産を承継させたいか、ご自身の思いがきちんと反映されるよう法的なアドバイスをし、遺言書の作成、保管手続き全般を全面的にサポートします。

2.公正証書遺言書

公正証書遺言は、遺言者が公証人へ口頭で遺言の内容を伝え、公証人が遺言書を作成します。
遺言書の内容は予め公証人がチェックをしますし、公証人が遺言書の原本を管理するので、遺言書を誰かに隠されたりすることもないので安心です。
相続手続きをする際に、家庭裁判所の検認は不要なのでスムーズです。

公証人と遺言に立ち会う証人(2名)への手数料が必要となります。
公証役場に行けず、公証人に出張を依頼する場合は、その分の費用もかかります。
自筆証書遺言に比べると費用がかかってしまいますが、より確実に遺言の効力を発生させるのであれば、公正証書遺言が推奨されます。

立会に必要な証人(2名)や遺言の内容を実現させる遺言執行者について、当事務所でお引き受けできます。
公正証書遺言の作成に必要な資料の代行取得、公証人との打ち合わせについて、お任せいただけます。
公正証書遺言とセットで行うことが多い任意後見契約や死後事務委任契約についてもアドバイスいたします。

3.秘密証書遺言

秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま、遺言の「存在」だけを公証役場で証明してもらえます。
公証役場で手続きが終わったら、遺言書を持ち帰り、自分で保管します。

自筆証書遺言と異なり、全文を自筆で作成する必要がないので、作成の負担は軽減されます。
公証役場で、証人(2人)の立会のもと、遺言書の内容が読み上げられる公正証書遺言と異なり、遺言の内容を秘密にすることができます。

大きなデメリットとしては、内容を秘密にできる反面、法的に有効な内容になっているか形式的なチェックもされないということです。
また、自分で遺言書を保管しないといけないので、せっかく作成した遺言書が発見されないリスクもあります。

自筆証書遺言書を法務局に保管できる制度ができたので、秘密証書遺言を選択するメリットがありません。
もともと、あまり利用されていない方式ですが、今後、利用される件数は減少するでしょう。
当事務所では、秘密証書遺言を推奨しておりません。

遺言の執行

遺言の効力が発生した後は、遺言内容を実現させる段階となります。
しかし、遺言者は既に亡くなっていますから、遺言者に代わって遺言を執行する人が必要になります。

この遺言を執行する人として「遺言執行者」を指定することができます。
相続人のうちの1人を遺言執行者として指定することもできますし、また、遺言執行者を定めないこともできます。

遺言に従った遺産分配をするためには、それぞれの遺産について、引渡しや不動産登記申請が必要になりますが、専門家でない人が行うのは複雑で負担が大きいです。
遺産を渡す相手が未成年者であれば、一人で手続きするのは、まず無理でしょう。

子の認知や推定相続人の廃除・取消し等、遺言の内容によっては、遺言執行者を指定しなければ執行できない手続きもあります。

相続人のうちの1人を遺言執行者と指定した場合、遺言書の適正な実現がなされず、紛争になる恐れがあります。
遺言で定めた内容をきちんと実現させるためには、利害関係のない専門家を遺言執行者として指定しておいた方が安心です。